事業者等(東京都,首都高速道路公団,建設大臣)の皆様へ
(1999年12月1日 多少腹立ちまぎれに)
とりあえず,勝訴判決おめでとうございます.率直に完敗を認めます.
皆様の主張が全面的に認められました.
道路は沿道住民の身体・生命など,余計なことを考える必要なく,自由に作っていいと認定してもらえましたね.世はまさに公共事業最優先.湯水のように税金を使って,皆様の腕を十分ふるえることと思います.
昔の法律で策定された計画,例えば戦災復興計画がそのまま今の時代に通用することも認められました.もちろん現在の法律に照らして環境に配慮する必要などありません.
都市計画と公害防止計画の整合性も表面上のことだけでよく,実質的に公害を悪化させても構わない,ということも認めてもらえました.
でも皆様,恥ずかしくないですか.次々と公害道路を作り続けていることを,法律でこんなに手厚く守られているなんて.石原知事もよくご存知のように,道路,そしてそこを走る自動車により大勢の人々を苦しめ,そして中には死に至るひとも少なくないという状況が続いていますね.それにも関わらずなお推進しなければならないどんな重要な事業なのか,裁判の過程でとうとう一度も説明してもらえませんでした.最後の最後まで,法律上間違っていない,という主張しかしませんでしたよね.
一つ忘れないでいただきたいことがあります.幹線道路周辺の生活環境を保全することを目的とした「道路環境保全のための道路用地の取得及び管理に関する基準」(昭和49年4月10日)という建設省都市局長,道路局長通達のことです.具体的には,幹線道路に隣接する地域の生活環境を保全する必要がある場合に,車道端から各側10メートルの土地を道路用地として取得し,植樹帯,遮音壁等を設置するもので,用地の取得は原則として都市計画として決定(変更)することにより行なう,ということになっています.
大丈夫ですかこんな通達そのままにしていて.
都市計画法には沿道環境保全という趣旨を含むと解する余地はないのですよ.都市計画道路を作るときに沿道環境に配慮しても構わないかも知れませんが,沿道環境保全を目的とした都市計画なんて,法律上ありえませんよ.法律が目指していないことを目的とした事業に税金を使うことになってしまいますよ.やばいですよこれは.都市計画道路調布保谷線(調布3・2・6号及び三鷹3・3・6号)はこのままでいいんですか.
もう一つ,国道43号線裁判の判決との関係.大丈夫ですか?
あの判決で被害を予見し,回避するのは事業者の義務であると認定されましたよね.今回の判決は都市計画法(道路法だって同じでしょう)上は沿道被害に考慮する必要はないとされたのですから,被害の予見,回避義務を果さない事業であっても認可・承認していいことになりました.確かに建設大臣はそれでいいかも知れませんが,事業者はどうでしょう.
東京都さん.環六拡幅事業による沿道被害の予見についてはアセス条令との関係で不必要だとして断固拒否しましたね.文書で残っています.それに首都高さんも含めて,被害回避のためのさまざまな提言もすべて拒否していますよね.これも文書で残っていますよ.
どうしますか.最高裁がOKしてくれたのだから,このまま住民の声を無視した道路を作り続けますか.それより少しは沿道環境に配慮した道路に転換した方がいいのではないですか.私たちもこのまま引き下がる訳にはいきませんので.