五葉山は、北上山地の南東部、岩手県の大船渡市、釜石市、住田町にまたがっ
ています。この山は藩政時代には伊達藩直轄で、ヒノキ、ツガなどの重要林産物
の供給地であったことから「御用山」といわれ、今日では、この山に多い五葉松
になぞらえて、「五葉山」と呼ばれるようになったそうです。
暖流が流れている海岸に近いこともあり、奥羽山脈とは植生が異なり、ゴヨウ
マツやヒノキアスナロなどの天然林も多く、ハクサンシャクナゲや特産種のゴヨ
ウザンヨウラクが生えています。野生動物も多く生育し、ツキノワグマ、ニホン
カモシカ、サル、ホンシュウジカなどが見られます。特にホンシュウジカは我が
国の北限とされています。
五葉山は2度目の登山になります。前回は7年前に北側の大松コースから登り
ました。この山に登るのにもっともきついコースらしいです。帰りは、鳩ヶ峰経
由の周遊コースをとりましたが、鳩ヶ峰からの下山道が廃道になっており、強引
に昔の道径をたどって降りたことがありました。
今回は11月下旬ということもあり、雪があることも予想されたので、もっと
も人気があり、楽なコースといわれている南側の赤坂峠からのコースを往復する
ことにしました。
盛岡から一般道を飛ばし110kmの距離を2時間足らずで着いてしまいました。
赤坂峠に着くと、駐車場には十数台の車が止まっていました。この時期に、こ
の時間(8時前です)に、こんなにたくさん止まっているとはちょっとびっくり
しました。
歩き始めると、時よりパーンという銃声の音がします。狩猟解禁になっている
ので、ハンター達が入っているのでしょう。間違えて打たれないようにしたいも
のです。
また、登り初めてすぐくらいから、何グループかの登山者とすれ違いました。
朝早くから登っているようです。このような時期でも登る人がたくさんいるとは、
それだけ人気のある山なのですね。
このコースはあまりきついところがなく、誰でも歩けるようです。途中の畳石
までは、石がごろごろした道を歩きますが、背の低い木または草の中の道で、展
望に恵まれています。畳石からは、ミズナラやダケカンバの細い木の樹林帯を登
っていきます。
下の方は霜柱を踏みながらの道でしたので、帰りはさぞぬかるんだ道になるだ
ろうと思いましたが、その通りでした。
畳石から雪の上を歩くようになりました。たくさんの人が歩いていますので迷
うことはありませんし、急なところはないので、登るのに苦労する場所もありま
せんでした。下は白、上は枯れ枝越しに抜けるような青空が広がっており、すば
らしいコントラストでした。
山頂近くに、しゃくなげ山荘という避難小屋があります。立て直したばかりの
ようで大変きれいでした。そばに水場もあって快適に泊まれそうです。
このあたり一面にシャクナゲがあり、花の時期(7月上旬)にはそれは見事だ
そうです。
ここから山頂までは高山植物保護のために張られたロープの中を歩く草原の道
ですが、30〜40cm位雪が積もっていました。降ってから日にちが経っているので
しょうか、雪はかなりしまっていました。日枝神社からは雪が風で吹き飛ばされ
て荒涼とした風景の中の緩やかな坂道を山頂に向かいました。
途中あんなに人に遭ったのに、山頂付近には誰もいませんでした。
山頂からは、ただ一つ真っ白な早池峰山が目立って見えます。反対側に目をや
ると、斜陽が反射しオレンジ色に美しく輝く海と、リアス式の三陸海岸が眺めら
れました。西の奥羽山脈の山々は雲が懸かっているようで山の形は見えませんで
した。
風速1m以下の風でしたが、それでも非常に冷たく、晴れているとはいえ長く
は居られません。
日程 | 1998.11.29 |
山名 | 五葉山(ごようざん)1341.3m |
山域 | 北上高地南東部 |
コース | 赤坂峠(7:55)---(8:40)畳石(8:45)---しゃくなげ荘(9:35)--- (9:50)五葉山(10:10)---畳石(11:05)---(11:35)赤坂峠 |