[アニマル・トラッキング/食べ跡の巻]

[登山途中に見た食べ跡]

大台ケ原では枯れ木が目立つようになり、その原因の一つににシカの食害が上げられ、環境庁でもこれを取り上げ問題としています。
岐阜県の山でも、樹木の剥皮が見かけられますので、その様子を紹介します。
山へ行くと植林された若木を取り囲むようにネットが張ってあるのをよく見かけます。 シカの食害を防ぐためのものですが、彼らは幼木を食べるだけかというと、そうではありません。 冬期の食料が不足しているときは10〜20年育ったスギ・ヒノキの樹皮でも食べるのです。 樹皮を食べられたスギ・ヒノキが、その後どうなるかを写真で追ってみました。

サンプルNo.1 ヒノキ



(撮影:2001年4月1日 場所:東洞岳)
食べ物の少ない冬期に、下から上に向かって樹皮を剥ぎ食べたのでしょう。この木は食べられてからそんなに経っていません。



樹皮がある部分は剥がされた樹皮の無い部分を包むようにして生長します。右の写真は年輪で見ると 8年たった冬に樹皮を剥がされ 40年たつとこのようになることがわかります。
サンプルNo.2-1 ヒノキ
(撮影:2001年4月1日 場所:東洞岳)
サンプルNo.2-2 ヒノキ
(撮影:2003年5月10日 場所:黒岳)


樹皮のない部分は 朽ちたり 虫穴ができたりすることがあります(左の写真)。間伐されたヒノキの切り株から 中心部まで被害部分が広がっていることがよくわかります(右の写真)。
サンプルNo.3-1 ヒノキ
(撮影:2001年4月1日 場所:東洞岳)
サンプルNo.3-2 ヒノキ
(撮影:2003年5月10日 場所:黒岳)





サンプルNo.4 ヒノキ(
撮影:2001年3月3日 場所:大洞岳)
もう このような縦長の穴の開いたヒノキはどうしてできたか わかりますね。年数が経つに従って樹皮のない部分のまわりはどんどん生長しますが、見かけは立派でも中はウロンコ状態ですから、価値の低い用材となります。
余談ですが、山の木の入札の時は、中のウロンコ状態を予測するのですが、人気が無く安く落札した木が、予想以上に被害が少なかったので、大儲けしたという話を聞いたことがあります。

サンプルNo.5 ヒノキ



(撮影:2002年11月下旬 場所:狗留孫岳)
これは樹皮を食べるというよりも 角研ぎに使ったようです。樹皮がめくれたまま 残っていましたから 樹皮を食べるのは厳冬期だけかもしれませんね。

サンプルNo.6 リョウブ



(撮影:2002年11月下旬 場所:狗留孫岳)
リョウブの木ですが 木肌を全部剥がさないのは 再生のための知恵ですね。

サンプルNo.7 リョウブ



(撮影:2002年11月下旬 場所:狗留孫岳)
これはリョウブの木ですが 木肌を剥がされると すんなりとは育たないものですね。

上の写真は部分的に食べられた場合の例ですが、ぐるりと一回り食べられてしまうと立ち枯れしていまうことになるでしょう。
防鹿ネットは幼木のときだけ張ればいいのではなくて、かなりの大木に育つまで必要なことがわかります。 ネットに角をひっかけて死んでいるシカを見られた方が、もう苗木は育ったのだからネットを除去したらと言っているのMLで見たことがありますが、 シカ害を防ぐにはかなりの年数、ネットは除去できないことがわかりました。一本一本に金網をぐるりと張る方法もありますが、大変な作業ですね。
山は人間だけのものではないのですから、人間の都合でヒノキ、スギばかりで山を埋め尽くすのは、シカにとっては死活問題で、食料のため樹皮食べるのもいたしかたないかもしれません。スギ、ヒノキも外材に押されて採算が合わなくなって放置林も多くなっている今、総合的にバランスのとれた山林対策がとりやすい時代となっているのではないでしょうか。




<その他の食跡>

サンプルNo.8 ブナ



(撮影:2002年3月下旬 場所:明宝村の烏帽子岳)
枯れたブナの木には虫がつくので キツツキが穴をあけて その虫を食べたのでしょう。



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