第33回テーマ館「天使」


僕は天使! 2M [2000/04/30 16:11:50]


「君、本当に天使なの?」
「そ!さっき天界から降りてきたの。」
「羽とかワッカとか無いけど・・・」
「あれは、人間がかってに『こうだったらいいなぁ〜』って考えた姿でしょ?」
「だって、普通の人間の女の子の姿だし・・・ほんとかなぁ〜」
「う”、疑ってるねその目・・・よし!僕が天使だって証明してあげるよ!」
「うん!」
少年の目が輝きだした・・・期待されてる・・・
「よし、今日は特別だよ!そのかわり、この辺で星がきれいに見える所を教えてよ。」
「いいよ。あの山・・・わかる?あの頂上からの眺めは最高だよ!」
「ありがと!じゃ、君を天国に連れて行ってあげるよ!」
「天国!やった!ほんとに?」
「うん!うれしい?」
「うん!うれしい!」
「じゃ、道路に向かって目をつむってそこに立って・・・」
「こう?」
少年は天使に言われるままに、道路に向かって目をつむって立った。
しばらくして、遠くの方からトラックが現われてこちらに向かってきた。
「準備はいい?」
「いつでもいいよ。」
「よし!せ〜の!」
天使は走ってくるトラックにおもいっきり少年を突き出した。
少年は断末魔と共にトラックにひかれて、即死・・・
天使は持っといたかばんから、携帯電話のようなものを取り出し番号をプッシュした。
「えぇ〜っと、天使ですが今少年が一人死んだので天国行きでお願いします。」
<<了解!休暇中なのに、ちゃんと仕事してえらいねぇ、天使ちゃん。>>
「まぁね。じゃ!そういうことで!」ピッ!
「これでOK!さて、あの山に行くのはちょっと遠いなぁ・・・車でもないと・・・」
「おい!大丈夫か!しっかりしろ!!!!!」
トラックの運転手が少年を抱きかかえ必死に声を掛けていた。
「その少年は天国に行ったよ。あきらめな。おじさん。」
「おまえは?おまえが突き出したんじゃないのか!!!」
「さぁ〜ね。でも、おじさんは間違いなく地獄行きだね。人殺しは罪が重いんだ。」
「おまえが殺したんだろ!!!」
「僕は天使だもん。自分の仕事をしたまでさ。あ、このトラック借りるよ。」
「何言ってんだ?子供が運転できるわけないだろ!!!!」
「おじさん、さっさと警察行って自主しな?そうしたら、少しは罪がかるくなるから・・・」
「おまえも来い!!!」
「おじさん・・・もう夜も遅いのに、そんなに大声だしたら、近所の迷惑になるよ。
黙らないとおじさんも殺しちゃうよ。」
天使は不適な笑みを浮かべて、トラックの運転手を凝視した・・・
「う”・・・」
トラックの運転手は月明かりに照らされるこの子悪魔を恐ろしく感じ、動けなくなっていた。
「じゃ!トラック借りるね。」
よいしょ。と、座席に登るとなんなく運転し、少年の教えてくれた山へ走り去ってしまった。
「あのガキ・・・悪魔か?」
呆然と少年の死体を抱えて、自分のトラックがとおり去るのをただ見守るしかなかった。