第33回テーマ館「天使」


エンジェル考察的絞殺 SOW・T・ROW [2000/05/23 09:10:24]


天使。
曖昧で、複雑で、その形状、その行動、全て人の想像から生まれた物。
そう、天使は人の想像からクリエートされたもの。

僕には天使がいる。
彼女は、完璧だ。ディティールに至るまで完成されている。
それはメンタルな部分にも及んでいて、彼女は光を背負う。
存在自体に意味を持ち、彼女の行動は芸術のメタファーだ。
彼女の前ではメランコリックな空気など瞬く間に消滅する。
声はそれこそ賛美歌をハミングしているかのように可憐だ。

天使は、想像の産物。

彼女は天使だ。
彼女にとって、世界の全ては醜悪な汚物だ。
逆に世界にとって彼女は、唯一の美麗な宝石。
誰より、いや、人と比べる事すらおこがましい。
何よりも、彼女は達観していて、世界を支配する。
彼女は、人間の本来の姿を提示する天のオブジェだ。
天から使わされたとしか言い用の無い、存在感と姿だ。

天使は時代と場所、主義や目的でその容姿、その意味さえ変わる。

しかし、それを理解し、認識しているのはどうやら僕だけのようだ。
それはあまりにも不可解で、それでいてある一つの答えを表わす。
僕は、彼女を守りし、護衛の一人なのだと。神は知らせている。
そう、獲りつかんとする悪魔を薙ぎ払うために存在を置いた。
それが、僕であると、神は、影ながらそれを掲示するのだ。
しかし、しかし彼女はそれを承諾しようとはしなかった。
神の象徴である十字架の下で、彼女はそれをしたのだ。

天使とは、人が人の存在意義を掴むための生贄の一つなのだ。

だから、僕は彼女を許せない。
彼女は、彼女は僕を裏切った。
それは、断罪に値することだ。
きっと、天は許さないだろう。
ゆえに、彼女は死で贖うべき。
彼女は、最後まで万人の天使。
そうでなければならないのだ。

人は常に移ろうもの。だからこそ、アンバランスに対する不安を常に内在する。
よって、完璧たるものを求め止まない。それは時に天へと繋がる。
そして、
一つに神が生まれたのだ。
二つに天使が生まれたのだ。
引き立て役に悪魔を配置して。
惑う愚か者は人として、劣等感により自らの居場所を形成するために。

そして彼女はこの学校の十字架に飾られた彼女の絞められた首は真紅のスティグマを持った
裏切りの場で懺悔と共に神の元へ神のしもべたる僕はそれをする必要があるのだ
彼女は人として生まれた天使そして僕はそれの護衛でも彼女はそれを拒んだ
それは神への反逆であるだから
死ぬべきなのだ。

万人にとって、最後まで天使でいるべきなのだ。
しかし、彼女はそれを拒んだ。
だから、人目に晒される前に、天に召されるべきなのだ。

天使は、想像の産物であり、存在しない命。惑うだけの人に作られた悲しき人形。
人には決して形容してはならないものである。人は人でしかない。
そう私は思う。