第33回テーマ館「天使」


半分実話っス かも [2000/06/30 22:54:11]


 「天国直通魂管理所」の周りには,いつでも,白くやわらかい光が立ちこめていた。
いつもは静かで暇な管理所が,今朝はいつになくざわめいている。それというのも,今日は地球
数えで28日に1度の,迷魂を送り分ける大切な日だからなのだ。
 もちろん,この日ばかりは神様も前日から泊まり込みで,一日中夜まで仕事をこなさなければ
ならないのであった。
 その,神様は起き抜けから,備え付けのテレビにかじりついていた。
 見かねた天使達がたしなめる。
「ちょ,ちょっと神様ぁ,あんた何みてるんですかっ。」
「見りゃ分かるじゃろ。朝のニュース,占いが見たいんじゃっ。」
神様は,朝のニュース番組中にやる,「今日のハッピー星占い」をここ10年間毎日楽しみに過
ごしてきたのだった。
「まーた占いですか。って,神様には星座なんてないでしょっ。」
「そうじゃ。だから,その日の占いで一番運勢の良い星座を自分の星座にしとるんじゃ。」
「・・・・・・。」
天使達は,言葉をうしなったが,神様は心なしか得意げに見えるのだった。
その時,仕事始めを告げるチャイムが鳴った。
―ちゃんちゃらたららら ちゃんちゃらたららら 皆っさん。まもなく,魂振り分け業務に突入
いたしまっす。各,持ち場に着いて,すみやかに仕事を始めて下っさい。繰り返しまっす―
「ほーらぁー,ウグイス嬢もああ言ってることですし,もう行きますよ!早く立って!」
「えーっ,あともうちょっとで始まるのにぃ。」
「神様が送れたら,皆に示しがつきません!ほら,早く!!」
「ちぇっ。しょーがない,ビデオに録画じゃ」
「って,一日が終わってから占い見てどーするんですかぁ!」
「あっ,そっか!」

 結局,その日は天使が代わりにテレビを見て,神様に知らせることで落ち着いたのだった。