「今日も、どこかで、」 by ナイリン セイショウ
「うぅん・・壁の向こうがみえないな・・」
溜池は少しぼやきました。
「冗談じゃないぞ、薄気味悪い」
そして、すこし怒りました。
「いつになったら、壁の向こうがみえるのでしょうか・・」
また、うな垂れたりもしました。
* * *
「みえなきゃこまるのだよ。みえなきゃね」
「あぁ・・こまりましたな、どうしよ・・はやく眼の保養がしたいよ」
「ここに来て三ヶ月か・・。食べ物には困らなかったけどね。うん、これだとあと、二年はもつかな」
「でも、薄気味悪いさ」
「誰一人、人の気配はしなかったしさ、いつになったら、人がくるのだろ・・」
「あぁ、普通のゴハンが食べたいなぁ・・」
* * *
溜池はそんなことを色々考えました。死体だらけのこの部屋でね。 ―完―
(投稿日:10月29日(木)02時17分25秒)