『テーマ館』 第23回テーマ「ブロック」
「・・・己を・・・」 by 啓
ここ・・・西ブロックが戦場になるとは!
「・・・仮にも住宅街だぞ・・・!」
私は一人呟いた。
相棒は・・・とうの昔に死んでいる。横に五、六人、兵士がいるが、二日三日の友人だ。覚えるのも馬鹿馬鹿しい。
・・・バンッ・・・バンッ・・・
銃声が近づいてきた!
私は天を仰いだ・・・なんて綺麗な青空だ。僕を、僕を吸いこんでくれないか?
付近の住民は、各々の家に、未だ居る。避難させたいが、時間がない・・・そう隊長は言う。
・・・御国の為には犠牲はやむを得ない、か。そんなにいい国かい?
バンッ・・・バンッバンッ・・・ババババッ
とうとう来たか。
・・・もう嫌だ。帰りたい。帰りたいんだよぉ!
最初のうちはそんな事思ってたな。今は・・・もう感情というものを認識できないよ・・・
・・・私は、古ぼけたブロック塀の影に身を潜め、その時を待っている。
今、頼れるのは、横の兵士ではない。己の腕でもない。
このブロック塀だ。
「おいっ、私を守ってくれよ!」
そう言って、私はブロック塀を数度、叩く。
そして・・・私は銃を握り締めた。
そして・・・私は・・・・・・その時を待っている!
(投稿日:11月14日(土)00時11分45秒)