「名古屋の壁」 by ギャモン
「ほんまに東京は好かん。東京弁ゆうのはすかんわ。」
「本当にムカつくよな。」
「まあ、ええやんか、名古屋の壁もできたことやし。」
「そうだよな、まあ、いいじゃん。あんなやつら。」
「お前、東のもんやな。あ、逃げるな、おい、捕まえろ。」
巨大な壁であった。その前に立つ女が一人。
「あの人にはもう逢えへんのやろか。生まれた場所なんか関係あらへん。あの人に逢いたいわあ。」
女は名古屋の壁に手をついて頬を壁にあてた。
「逃がすな。捕まえるんや。」
「俺は、西が好きなんだ。なぜ受け入れてくれないのって感じ。ア、あの娘は?ともみーーー!」
壁にもたれていた女は、顔を上げ、辺りを見回し、量子力学について少し考え、そして叫んだ。
「こうじーーー!!」
(投稿日:12月18日(金)02時03分28秒)