第52回テーマ館「ブルース」



売れない歌唄いのブルース ひふみしごろう [2004/03/19 14:43:43]


10時過ぎごろ目を覚まし
眠気覚ましにコーヒーすする
それでもやっぱり眠いので
再びふとんにもぐりこむ。

のどかなまどろみ包まれて
いつの間にやら昼下がり
俺は売れない歌唄い
競争社会の脱落者

家計はバイトでまかなって
あいた時間はだらりと過ごす
せわしくないのはいいけれど
金もないのが困りもの

最近すこしマンネリで
なんだかつらくなってきた
新曲作れと言われても
作れるものなら作ってる

ひきこもってもどうにもならず
気分転換外に出る
外は陽気につつまれて
余計気分は欝になる

近くの公園来てみれば
どこかのだれかが走ってる
一心不乱のその姿
今の俺にはかなわない

しばらくベンチで休んでみたが
ろくな考え浮かんでこない
やなことばかりが湧いてきて
ますます鬱になるばかり

考え込んでも仕方がないので
俺は再び歩き出す
そしてしばらく進んだ先で
レンタルビデオ屋やっていた

沈んだ気持ちを晴らすため
派手な作品借りようか?
しかし悲しき懐具合
”ブルース・ウィルス微妙だね。”

あてもないまま歩いていると
いつの間にやら夕暮れで
沈む夕日を眺めていると
あたりは夜につつまれた

ゆっくり家路につきながら
俺の心に渦巻く思い
鬱々としたその重さ
たまらず俺は言葉に乗せる

うす暗闇の星の下
かすれた声に導かれ
ブルーでメロウなそのメロディーは
意外に陽気に流れて消えた

    <おわり>

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