第43回テーマ館「境界線」



眠たいお正月 華丸縛り [2002/01/02 16:36:50]


みかんをほうばりながら、こたつの中で寝転んでいる。隣には猫もいる。
耳を近づければ、その小さな吐息が、そよ風とともに聞こえてくる。
気持ちのいい、正月の晴れた日。
天気予報では今日は雪が降ると言っていたが、窓から見える空は雲ひとつ
ない快晴だ。
それでも寒いことは寒い。ミニこたつがあるからいいものの、自分の部屋
には他に暖房器具がないのだ。

「ふぁぁー……」

そんな間抜けなあくびをしながら、今日は朝からずっとこの調子だ。高校
受験が控えてる身なのにと、自分でも少しは不味いかなという気持ちもあ
るのだが、どうにも動こうという気分になれない。勉強など論外だ。
母さんも呆れてしまって、何も言ってこない。ただ時折聞こえるその足音
は、分かりやすいくらいに乱暴だった。
うっと半身を起こし、ビデオの時計を覗いてみた。昼と夕方の境界線みた
いな時間帯だ。昼飯はとっくに終わったし、活動するにはまだ早すぎる。
……要するに、昼寝の時間帯だ。

「じゃ、もう少し寝てよ」

と、僕はまた枕に顔をうずめた。無理矢理な解釈だと非難されそうだが、
ここにはいま猫しかいない。猫は年中昼寝をする生き物だ。
目蓋を下ろすと、あっという間に眠気が襲ってきた。素直にそれに従うの
も気が引けたので、軽い瞬きを繰り返し、せめてもの抵抗をみせた。
これで言い訳は完璧だと、僕は喜んで眠りに支配された。

戻る