第79回テーマ館「シュークリーム」



犯人発見器 cinos [2010/11/22 20:42:42]

 ほび太くんは激怒した。
 必ず、大切にとっておいたシュークリーム の犯人を暴かなければならぬと決意した。
 「シューシューシュー」頭から湯気を出しているみたいな声を出した。
「シュークリーム、せっかくとっておいたのに。は、犯人は誰だ。ぶっ殺してやる」
 そこにニコニコしながら脳天気な緑のたぬきがやってきた。
 「ほび太く〜ん、どうしたの」
 「たこちゃ〜ん、ぼ、僕の大切にとっておいたシュークリームが食べられたんだ」
 「ぎくっ。ほ、本当」緑のたぬきが青くなった。
 「もしかして、たこちゃ〜んが食べちゃったの」ほび太くんがにらみつける。
 「ま、まさか、ち、ちがうよ、ど、どぼぢで、ぼくが」
 「犯人を探しの道具ってないの」
 「あ、あることはあるけど。あまり気がすすまないけど」
 「あるの、ないの」
 「ありますあります」緑のたぬきは大きなトランクを開けると中からヘルメットを取り
出した。

 「犯人発見器〜」
 チャッチャチャ〜ン

 ほび太くんはヘルメットを受け取るとしげしげと見た。
 「どう見ても普通のヘルメットだね」
 「これを容疑者にかぶらせて「あなたは犯人ですか」と質問してみればすぐに犯人がわ
かるという優れものの道具なんだ」
 ほび太くんの目がきらっと光ると
 「たこく〜ん、ちょっとかぷってみて」
 「え、えええ」
 ほび太くんは緑のたぬきの大きな頭の上にヘルメットをちょこんとのせると質問した。
 「君は僕の大切なシュークリームを食べた犯人ですか」
 「い、いいえ、ち、ちがいます」緑のたぬきは汗をかきながら答えた。
 すると「ブッブー」という音とともに、
ヘルメットの頂上から「×」と書かれた札が飛び出した。
 「うそついたな。お前が犯人だったんだ」
 「ご、ごめんなさい。ついおいしそうだったから。食べてしまって」
 ダン。
 緑のたぬきが言い終わる前にほび太の銃が火をふき、緑のたぬきは死んだ。
 ほび太くんはヘルメットを拾い上げて自分でかぶると
 「僕はたこく〜んを殺した犯人だ」と言った。
 すると「キンコンキンコ〜ン」という音と共に
ヘルメットの頂上から「○」の札が飛び出した。
 ほび太くんは、にやりと笑った。
 「本当に優れものだな」

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