第40回テーマ館「三日月」



弟 三城智人 [2001/07/07 18:04:19]


 俺の手元には、いつもあるペンダントがあった。それは金色に輝く、
楕円のような形のもの。
何故そんな変な形なのか。
 これは、目印だからだ。
 俺には双子の弟がいる。一卵性でないため、顔は似ていないが、
俺には弟が分かるだろう。
 一つは、俺にあるように弟の左腕に、☆の痣がある。
これは生まれつきあり、まったく消えない。だからいい目印だ。
そしてもう一つ。この、ペンダントの片割れ。
 弟にはこのペンダントは、三日月の形になっている。
その三日月を探し出すことが、俺の今の生きがい。
 生まれて間もなく養子に出された弟。
決してこちらから連絡を取ることをしないと言う母の遺言だが、
せめてそばで見守ってやりたい。そのために、俺は三日月を探す。
 もうすぐで俺も養子に入ることになる。だが、たとえ誰が親になろうと、
弟を探す事はけして止められない。
 早く、弟を、三日月を見つけ出したい。


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