第58回テーマ館「死」



遠い死 はなぶさ [2005/07/05 12:49:26]

梅雨というのに雨が降らない6月だった。土の上に植物たちの死骸が
並ぶ日々だった。暑い季節に死を迎えた気持ちを考えた。太陽に見守
られて、暖かい大地に抱かれて眠るのなら幸せだったのか。

7月に入り遠い親戚からの訃報が届いた。子供の頃にしか会っていない
遠い親戚だが、幼かった私を笑顔で見つめてくれたことを憶えている。
だから、胸の片隅が冷たくなった。

どこかのだれかが私の死を見つめてくれるのなら、その時が来ても
寂しくないのかもなあ、と思ったり。今は気付いていないだけで、
誰かの胸が痛ませるのだろう。

今は気付いていないけれど。


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