第58回テーマ館「死」



隣あわせの非日常 シュウキ [2005/08/23 11:29:18]

僕は、今、生きているのか。時々ソウユウ、夢想に取り付かれることがある。普通の人から見た
ら可笑しいと思われるだろうけど、一度ではなく何回も一日にそう思うときがある。僕の今まで
の人生の中でそう思ったことは一度もないのにこうなってしまったのは、おそらく彼女の影響だ
ろうか。「みーん、みーん。」蝉がけたたましく鳴き響き夏の到来を告げる。その頃の僕はただ
学校に通いただただ無気力にすごしていた。その頃僕は、ある女子と恋愛関係にはいっていた。
とはいってもただ毎週下校時に寄り添って帰るていどだったからー正しくはそういわないかもし
れないけど、その女子とは、最初はあんまり話しはしなかったのだけれどいまでは、五分くらい
なら、はなしはつずくようになっていた。アンマリ喋ってないかと思うけどーとりあえず、それ
が、ぼくの最初で最後の恋愛だった。あるひのことだった。いつもどうりに一緒に帰っていた。
それは何気なく続いていく日常の一こまにしか過ぎなかったーー僕にとって、でもそのときには
もう遅くてもうなにもかもこわれていった。どんどんと、そして今の僕にはーなにものこってい
なかった。「ねぇ。」始まりは、彼女のこのひとことだった。ぼくは、この一言を不思議におも
った。彼女のほうから、話し掛けてくるなんて珍しいななんて思いつつごく自然に「どうした
の。」といってみた。たいするかのじょのほうは、「・・・・・・・・・」なにか言いずらいこ
とがあるように彼女は、口つぐんだままだった。僕は、なんか、じれったくなり、「どうかした
の」ちょっと、冷たくいってみた。ぼくのそのことばに、彼女は、少しむっときたようだった
が。少し間をおいてやがて決心がついたような顔つきのなり僕の眼をまっすぐに見つめて彼女
は、「私の、お願いをきいてくれる。かな・・・・・」少しうつろな目をしながら僕に、そうた
ずねてきた。僕、はどんなことかな、と思いつつ、快く承諾した。しかし彼女は、「ほんとうに
いいの」とたずねてきた。ぼくはじれったくなって、「だいじょうぶだよ」と根拠もなくそうい
いきった。彼女は少しためらったようだったが、腹を据えたのか「じゃあゆうよ、」といい、
「私の最後の姿を見届けてほしいの」彼女は淡々とした口調でそういった。

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