吸い寄せられるもの はなぶさ [2005/09/29 23:23:57] 簡単な理由だと思うのは、まだ生きているからだと思います。そう言って死んでいく 友の淡い思念が私を包み込んだ。それは夏から秋に変わり行く季節にしか表現できない 淡く切ない空気と流れ。 青い空を白い煙が流れていく。煙突に流れていく物体と、この身を包む甘い匂いが どこかに矛盾と調和を響かせている。友は灰になって、そして無限の地平へ消えた のだ。 それから空を見て、吸い寄せられる気持ちが芽生えた。芽生えたのではなく気が付いた というべきかもしれないが、そういう気持ちでいっぱいになるときがある。友が消えた 悲しみが薄れても、その吸い寄せられていく気持ちは消えていかなかった。 何年もたって、やはり簡単な理由から空に焦がれるようになったのだと思ったりもした が、たまに彼の思念が理解をさえぎってしまう。ほんの一瞬だけ、彼が私に囁くのだ。 まばたきの瞬間に。 戻る