『テーマ館』 第29回テーマ「死にたくない」


漫画紹介「脳髄ジャングル」 投稿者:遊牧家族  投稿日:09月02日(木)00時49分56秒


      「脳髄ジャングル/新井理恵/小学館フラワーコミックス」
       夢と精神世界をテーマにしたコミックであるが、今回は内容につ
      いては触れない。個人的に気になるキャラがいるので、そこだけ紹
      介させていただく。
       らみあという名のドワーフが登場する。この娘(娘なんだよ)は
      人間に恋をするのだが、これは非常に危険な恋である。というのも、
      ドワーフは人前に姿を現したとき、その存在を人に認められなけれ
      ば、そのまま消えてしまうのだ。
       当初は、なんとも情けない存在と思われた。しかし漫画について
      反芻するうち、私の印象は変わり始めた。
       今の我々はどうか。周囲から認められずに生きて行けるのか。
       現在の私の意見である。
       ドワーフは、わざわざ人に認められようなどと思う必要はない。
      死にたくないのなら、身を隠していれば良い。
       人間はそうは行かない。本人の了解にかかわらず世に生み出さ
      れ、社会に合わなければ不適応の烙印を押される。ドワーフが持
      つ選択ですら、我々は持ち合わせていないのである。
       ある意味で、我々はドワーフより弱いのかもしれない。
       さて、このドワーフの少女は、危険をおして人間にその姿を曝
      す。どうなったかは、実際に本を読んでいただきたい。古書店に
      あるだろう。