(無題)　投稿者：フーガ（お粗末様でした） 　投稿日：09月04日(土)14時00分57秒

            　
      　家族が見舞いに来れない今日のような日は、この部屋の窓から外を見ることが、
      修一郎の唯一の楽しみになっていた。
      　もはや満足に動くこともできない体は、彼にやがて訪れる死を予感させた。
      　家族は彼を思いやって、詳しい病名を明かしてはいなかったが、修一郎にはもは
      や自分が助からないことが解っていた。
      　それでも修一郎は、○○○○ないと思う。もっと生きたいと強く思う。
      ＊
      ＊
      ＊『問３』
      ＊○○○○内に入る適当な語句を、漢字を含めた四字で書きましょう。
      ＊また、その理由を２０文字以内で書きましょう。
      ＊
      ＊
      　銀沢小学校教員の山吹あずさは、今朝の国語テストの採点にいそしんでいた。今
      年の春より一年生の担任から五年生の担任になったとはいえ、さほどの違いなどあ
      るものかと、たかをくくっていた彼女は、続く生徒の答案を見て途方にくれる。
      ＊
      『問三』
      食べたくない
      理由は、病院のご飯があんまり不味いからです。お菓子を食べたかったからです。
      ＊
      「………………」
      あずさは無言で回答者の名を見る。
      『５年四組・榎本将司』
      彼女は答案を持つ手を振るわせながら思った。
      「死にたくないだっつ〜の！！　お菓子食べてどうするんだ〜っ！！！」