『テーマ館』 第29回テーマ「死にたくない」


約束 投稿者:Ryo  投稿日:09月21日(火)21時44分10秒
       

      1人の男が扉を背に数十匹の魔物と対峙している
      (あいつは無事だろうか・・・)
      男の周りにはすでに息絶えた魔物が重なり合い、足の踏み場も無いほどだ
      (まあ、あの2人がついていれば大丈夫だろう)
      しかし、魔物はひるむことなく攻撃を加えてくる
      (それよりこの状態をどうするか、だな)
      数匹の魔物が同時に襲ってきた
      「でやっ!」
      男は軽く叫びながら剣を薙ぎ払う。襲ってきた魔物だけでなく
彼を取り囲んでいる数匹も衝撃波で切り裂かれる
      (ヤバイな・・・今回ばっかしはマジで死ぬかもしれん)
      男の体はすでに限界に近付いていた。そこへ魔物の容赦ない一撃が加わる。
      「ぐっ!」
      扉に叩きつけられて意識が朦朧となる。
      (・・・俺はここで終わるのか?くそっ、そんなこと・・・認められるかぁ!)
      男はすぐに立ち上がった
      「俺は・・・あいつとの約束をやぶるわけにはいかねーんだよ!」



      炎上する城
      丘の上からそれを見下ろす3つの影
      「もう行きましょう・・・彼は・・・もう・・・」
      「そんなことない!約束したもん!生きて帰るって!」
      「あきらめろ・・・そんな約束。守れる保証はどこにもない。
ましてやあの大群の中で・・・それに万が一あの魔物どもを倒したとしても、
もうあの中から脱出する気力すら残ってないだろうさ」
      「そんな・・・そんなことない!生きて帰るって言ってたもん!
一緒に村へ帰ろうって言ってたもん!私、助けに行く!」 
      「いい加減にしろ!もう遅い!今更助けに行って何になる!」
      「そうですよ。助けに行ったとしても、あの炎の中で焼け死ぬだけです」
      「そんな・・・やっと・・・やっと一緒に帰れると思ったのに・・・」
      彼女はその場に泣き崩れた。そしていつまでも、いつまでも泣いていた。
まるで戦いの終結を示すかのような朝日の中で・・・


      こんなもん読んでくれてありがとうございました