フクシュウ　投稿者：Ｒｙｏ 　投稿日：10月01日(金)11時55分46秒
       

      血・・・
      そう、これは血
      人間の体内を流れるもの
      それが目の前で池を作り出している
      その中にいくつかの塊がある
      さっきまで元気に走り回っていた、私の弟たち・・・
      そして子供たちと遊んでいたお父さん、夕食の後かたづけをしていたお母さん
      許せない
      幸せいっぱいの家庭だった
      その幸せがこれからも続くはずだったのに・・・
      あの男・・・
      胸の傷が痛む
      死にたくない・・・いや、死ねない
      あの男に・・・仕返し・・・いや、これは・・・復讐・・・するまでは
      手が何かに触れている
      ・・・紋章？
      こんなもの見たことない
      これは・・・あの・・・おと・・こ・・の？


      「おお、気づいたかい」
      ここは・・・どこ？
      「君はもう１週間も眠り続けていたんだよ」
      わかった・・・ここは病院だ
      「大変だったねぇ」
      たしか・・・あの男に家族が殺されて・・・
      「大丈夫かい？」
      ・・・？手に何か持っている？
      「お〜い」
      「・・・これ・・・何？」
      「あ、なんだ。気づいてたのか。いや〜、心配しちゃったよ。
まだ意識が戻ってないんじゃないかと・・・」
      「ねえ、答えて！これは何？」
      「何って・・・君がここに運ばれて来た時からずっと握って離さかったんだよ」
      そうだ。確か、気を失う寸前に握った・・・紋章だ。あの男の唯一の手がかり
      「・・・？まあ、とにかく君はもうちょっと療養が必要だから。
ゆっくり寝てなさい。あと・・・これはいいにくいんだけど・・・その胸の傷は、・・・一生残るだろうね」
      一生残る？好都合だ。この傷は復讐の証
      何年かかってでも・・・絶対あの男を・・・

      ・・・その夜、彼女は病院から消えた・・・