『テーマ館』 第27回テーマ「ドラゴン」


ドラゴン 投稿者:伽羅姫  投稿日:05月05日(水)16時19分04秒

      「一人ぼっちのドラゴン」という絵本があった。
      それはとても古い絵本だ。
      12年位前に読んだ記憶がある。
      おぼろげな記憶。
      今15歳になって思い出すがその記憶は
      断片でしかその姿をあらわさない。
      記憶とはあいまいなものである。
      「あぁ、あの本はこんな内容だったかな」
      と思い出して、再度見付けてその本を読む。
      すると全然違う内容だったりする・・・

      その内容はこんなものだった。

      ある日、ある少年(Aとしておく)は、巨大な
      卵を見付ける。
      その卵を目玉焼きにしたらこの空腹は満たされるだろう・・
      そう考えた少年は、卵を持ち帰る。
      しかし、持ち帰ったはいいが、その卵のからは
      とても硬かった。
      あきらめる少年。
      その日は空腹を押さえ、眠る事にした。
      次の日の朝・・・
      少年が目を覚ますと、小さな竜のような生き物が
      隣で眠っていた。
      「君は誰?」
      声を掛ける少年。
      その生き物はゆっくりと起き上がり
      「僕はドラゴンさ」
      という。
      ドラゴンと少年は、最初は気まずかったものの、
      すぐに仲良くなった。
      しかし、ある日の事であった。
      少年の家に、村人がやってきて、
      「そのドラゴンを渡せ」
      と、少年に言った。
      少年は嫌がった。なぜなら、渡せば、
      親友のドラゴンはうろこをはがれ、殺されて
      しまうからだ。
      しかしドラゴンは、少年が止めるのも聞かず、
      外に出る。
      村人が捕獲しようとしたその時、
      ドラゴンは空へと飛び立つ。
      「今までありがとう。僕は君を忘れないよ。
        僕たちは永遠に友達だ」
      そう言い残しドラゴンは空のかなたへ飛び立つ。
      その後、年月は流れ、少年は老人になる。
      ドラゴンの事は覚えたまま。

      そしてそのドラゴンはまだ生きているらしい・・・

      多少間違っているかもしれないが、この本は
      私の記憶のなかに鮮明に残っている。

      あの少年のように・・・
      あのたった一人のドラゴンを覚えていた
      少年のように・・・・・
      親友との思い出は消えないものである。
      たとえおぼろげでも。