『テーマ館』 第27回テーマ「ドラゴン」


元助教授とその助手 投稿者:通琉  投稿日:05月10日(月)19時25分38秒

      「教授・・・」
      「なんだね、やぶから脳に、町田君」
      「それをいうなら『やぶから棒に』です。まぁ、意味合いは正しいですけど」
      「わしはこう見えて忙しいんだ。見ろ、この添削の山を!!」
      「それは教授が手抜きで、マークシートにしたせいで、コンピューターがお
      かしくてきちんとした採点ができなかったからじゃないですか。一体何人の
      学生が『D判定』に我が目を疑ったことか・・・」
      「言うな。わしが悪いんじゃあない。プログラムかなんかに落ち度があったの
      じゃ」
      「(その打ち込みだって、自分でやったくせに・・・)、ともかく、これを
      見てください」
      「?」
      「なんだと思います?」
      「視覚で捉えたものが、脳に入って言葉に翻訳できないのに、それが答えられ
      るわけなかろう」
      「(・・・。素直に分からんって言えばいいのに)。仮に、例えるとするなら
      です」
      「仮説は根拠が7割型確定してから言う主義だ、わしは。知っとるだろ」
      「(・・・知らんっちゅうに)。どうです、龍に見えませんか?」
      「・・・・・ドラゴン・・・・」
      「・・・・・・・」
      「ま、たしかに見えるな、龍に」
      「そうでしょ。これは、なんとたつの」
      「うむむむむ!みなまで言うな。言うなよ〜。おお!そうか、わかった!」
      「?」
      「またわしをたぶらかそうったってそうはいかんぞ、このこわっぱぁ!」
      「(・・・お、俺?)」
      「これはなぁ、かの有名な、ミシガン湖の伝説の生物」
      「!」
      「ミッシーじゃ!!」
      「教授。今思い付いたことを速攻で口にしないでください」
      「霊的直感は疑いようのないものだと、あのオカルト大先生も言うておる」
      「デカルトです」
      「ともかく、わしにはそう思えたのじゃ。で、これはなんなのかね?町田君」
      「(結局聞くのかよ・・・)。これはですねぇ、肥大化した、たつのお」
      「うむむむむむ!そうかぁ!ビンゴ!!」
      「!?」
      「昨日食べたオムライス、あれがアレルギーの原因だったんや」
      「最後まで聞けっちゅうに!この万年助教授がぁぁ!」
      「うるさい!キー!金田元助。これに教授と付いたら元、助、教授になって
      しまうのはわしのせいではない!」
      「これは、たつのおとしごの肥大化した場合のモデル写真なんです!」
      「わかっておったわ。あえて君との議論の対象にできると思って・・・」
      「採点しなさい!!」

                                        完