噂のムシヴァ・ドラゴン 投稿者:スタァ 投稿日:05月25日(火)03時02分27秒 「噂が本当なら死なずに済むが…、」 「ガセネタなら間違いなく死ぬ。」 「それを確かめれば大富豪の仲間入り…、」 「このまま逃げれば笑いもの。」 二人は歩きながら、この押し問答を繰り返していた。その口調はいつしかお互いの歩調と 寸分の狂いなく合い、まるで祭囃しのように楽しげな唄となっていた。 二人の視界に、大きな洞穴が見えた。うっそうと繁る新緑の中に、ぽっかりと口を開けた 暗闇の噴出口が。 二人が一心に思うは、『竜の急所は奥歯にある』という噂の真偽であった。