『テーマ館』 第27回テーマ「ドラゴン」


ろごす 投稿者:ゆびきゅ  投稿日:07月09日(金)23時04分17秒

      まずはじめに竜がいた。 
      彼らの調教師は怒れる自然、彼らの親は慈しむ自然だった。 
      彼らは言葉の反対側に住み、彼らは偶然を寝床とした。 
      竜でなきものが現れてから、彼らは欲するようになった 
      決してすべてではない、世界の変化を。  
      生命そのものを、起源の岬に残して。 
                                                           
      まずはじめに竜がいた。 
      単純な出来事の両端を牙に結び付け、飽くることなく反復していた。 
      誕生から死への移行を、標的への追い風としていた。 
      人間は彼らを恐れ、理解し、漠たるしるしとした。 
      人間の眼差しが、青い竜を遠くに運び去った。
      ことばそのものを、起源の岬に残して。