Unknown外伝　投稿者：音羽 　投稿日：07月17日(土)10時04分47秒

      　ラシャっていうのが、僕の名前だった。
      　６人も、お兄ちゃんやお姉ちゃんがいた。
      　お兄ちゃん達は、忙しそうに色んな所を飛びまわっていた。
      　だけど、僕はまだ小さいからって外には連れていってもらえなかった。
      　神殿の中でも、『オベロンの像』の側には、たくさんの精霊が集まる。
      　とても気持ち良いから、そこは僕のお気に入りの場所だった。
      　外に連れていってもらえない代わりに、そこに集まってくる精霊達に外の世界の
      事を色々と教えてもらった。
      　タータ兄ちゃんが、今どんなことをしてるとか、ツォーネ姉ちゃんが、だんだん
      大人になってきてるとか。
      　僕も早く大人になりたいな。
      　大人になったら、外に行けるんだもん。

      　――今日もまた、お話を聞かせてもらおうと思ったのに。
      　今日は誰もいない。仕方ないから、僕は色んな事を思い浮かべた。
      　綺麗な空。美しい川。僕の七色の鈴を振ったみたいに鳴く虫達・・・。
      　綺麗な花があって・・・おっきな木が立ってて・・・。
      　そんな事を考えてたら、急に、オベロンの像が光り始めた。
      　僕が驚いて後ろを振り返った途端、僕のすぐ隣の壁が大きな音をたてて壊れた。
      　物凄い風が、僕を押した。
      　オベロンの像が、一層明るく光るのを感じながら、僕の足は地面から離れて、空を泳いでた。目の前が、真っ赤に染まって―――


リレー小説「Unknown Destiny〜先知れぬ運命」