第64回テーマ館「竜」



第60回干支会議(hiro氏原案) 別談 ジャージ [2007/03/28 03:22:39]


司会進行役の猪は、受付名簿を見て困った顔をした。
名簿には出席者本人の字で名前が書かれている。
干支の順番ではなく、来たものから書くことが決まりだ。
足の速い馬、ネズミ、ウサギなどは、名簿の最初にくるが、
足の遅い牛や、気まぐれ時にしかこないトラや龍は最後の方になる。
「今年はなぜに猫まで来るかブモ?」
猫は干支メンバーではない。
が、当の猫は「神様から手渡された書状を持っているから」と、
円卓に我が者顔で座っている。
「まぁ、それはいいのだがブモ・・・その隣の奴はなんだブモ??」
猫の隣には、これまた部外者のはずのモグラが座っている。
「こりゃどういう事だワン?」
首をかしげている猪に、今到着したばかりの犬が尋ねた。
「私も今気付いたところだブモ。」
「ねえねえ、何でモグラがいるウサ?」
「部外者のいる干支会議なんてトラさんや龍さんが見たら怒るチュウ!」
ウサギやネズミが騒ぎ出した。これでトラや龍がきたら、会議がめちゃくちゃになるど
ころか、自分が彼らの今夜の酒の肴になる危険もある。
「と、とにかく事態を把握するブモ」
猪はオドオドと座っているモグラに声をかけ、なぜここに居るのか問いかけた。
すると、
「ぼ、僕は龍さんの代理で、い、いるモグ」
「龍さんのブモ?」
モグラの話によると、龍は「リョウクウシンパン」とやらに引っかかり、人間と口論に
なっているから少し遅れるらしい。で、到着するまで代わりに会議に出てほしい。と、
その伝言を鳥から受けて、ここに来たのだという。
「鳥はなにも言わなかったブモ?」
「あ!彼は鳥だから、3歩歩くと忘れるんだワン!」
猪の横で聞いていた犬が、ポンと手を叩く。
事態は把握できた。まぁ龍の代理なら安心だ。だが・・・
「なぜ、君が龍さんの代理なんだブモ?」
「は、はい・・・モ、モグラは、か、漢字で書きますと【土竜】だからモグ。」
土の竜・・・モグラ。
「それで代理なんかブモ!!!」

     <第60回干支会議へ続く>


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