『テーマ館』 第16回テーマ「視線」



 G・G −Glance Girl−   by 2M


      横断歩道が目の前にある喫茶店「G・G」
      読み方は「ジ・ジ」と読む。
      その名前の由来は・・・由来は忘れたけど、とにかく「ジ・ジ」と読む。
      私はここでアルバイトをしている短大生。
      小さいけど、私の好きな喫茶店。
      客の入りは少ないけど、私はここでのバイトが気に入っている。
      ・・・っていうか、だから気に入ってるのかも。
      一言で言えば「ラク」だから・・・かな。

      私は主にレジの担当をしてて、すぐ前には例の横断歩道がある。
      その横断歩道を通る人もまばらで、私はそんな人を眺めながらのバイトに
      最近、ちょっと退屈していたところだった。

      ある日、私は横断歩道を渡る人がこっちを振り返らないか・・・
      いつしか視線を送るようになっていた。いや、念じに近いかも。
      私はこのことを「視線送りゲーム」と勝手に命名している。

      あ!また、サラリーンマン風の男が横断歩道を渡ろうとしている!
      今度こそ!振り向かせて見せる!そして、視線を投げかける!
      『振り返れ、振り返れ、振り返れ、振り返れ、振り返れ、振り返れ
       振り返れ、振り返れ、振り返れ、振り返れ、振り返れ、振り返れ
       振り返れ、振り返れ、振り返れ、振り返れ、振り返れ、振り返れ
       振り返れ、振り返れ、振り返れ、振り返れ、振り返れ、振り返れ』
      はぁ、だめだ・・・男は行ってしまった・・・
      『え?』
      『何?』
      『この気配は?』
      『見られてる?』
      なんか、急にそんな気がしてきた。
      『後ろから?』
      私はハッと後ろを振り返った。すると、
      そこにはニヤニヤ笑っている店長がいた。
      「ほ〜ら、振り向いた!今ね、君が振り返らないか視線を送ったんだ!」
      得意げに声をだす店長28歳独身。
      『恐るべし、店長!』
      思わぬところから出現したライバル。
      私はその日から視線送りゲームに磨きをかけることに専念することにした。

(投稿者:03月16日(月)23時08分38秒)