『テーマ館』 第16回テーマ「視線」
「山野家《茜の探偵物語》」 by 遊牧家族
「トン、トン」
うす黄色いドアを2回ノックする。
『どなた〜?』
ちょっと間の延びた返事が返ってきた。
「あ、あの、茜(あかね)です」
『ああ、茜ちゃんいらっしゃい。入って入って』
言われるままにドアをあけた。書類とかが積み上げられた部屋の
イスの上に智恵(ともえ)さんがみえた。
「智恵・・・さん、こんにちは・・・」
『おばさんでいいって。(ちょっと笑う)』
そう、智恵さんはお母さん(涼子っていいます)のお姉さんだか
ら、私のおばさんなんだよね。でも“おばさん”なんてくたびれた
呼び方は、元気でハキハキとしてる智恵さんには合わないと思
う。だから智恵さん。
『それで、今日は何の用?』
「観察力は、どうすれば身につきますか?」
実は私、“探偵”になりたいんだ。で、そのためにはまず観察力
が必要かな?って思って。だったら、小説家・エッセイストでも
ある智恵さんにアドバイスしてもらおうと思って、今日智恵さん
を訪ねたのだ。
話戻すよ。そうしたら智恵さんは、
『観察力って例えば、今日茜ちゃんが焼きまんじゅうを8コ持っ
てきたことを見抜いたりとか?』
と言ってきたのだ。
「!!」
図星。確かに私はお土産に焼きまんじゅうを持ってきた。しか
も、8コ。智恵さんにはみせてないはずなのに・・・
「ど、どうしてわかるの!?」
『知りたい?』
私はうなずいた。
智恵さんが何を教えてくれたのか、それはまた次のときに書くこ
とにしよう。
(投稿者:03月21日(土)01時03分17秒)