第82回テーマ館「恐怖」
きもだめし しのす [2011/10/23 21:22:35]
あれは小学5年の夏の夜のことでした。
学校のキャンプで、お決まりの肝だめしをすることになりました。
お墓の間を通って寺まで行って釣り鐘の下に置いてある
自分の名前のバッヂをとってくるというものでした。
それくらいなんともないと、男子はいばっていましたが、
ビビッていたように思います。
肝だめしは基本一人で行くはずでしたが、
皆だんだんと恐くなってきて、スタートした後、次の人を待って
二人で行くような人も出てきました。
ユウヤとユウキの双子はスタートから二人で
手をつないで行きました。
私は一人でスタートしましたが、途中でマナミと一緒になりました。
途中不気味な声が聞こえたり、
ゆらゆら揺れる火の玉が浮かんでいたりしましたが、
先生の演出でした。
お墓の間を通って、寺まで行き、釣り鐘の下のバッヂを取ってきました。
戻ると、先生が、
「ハル、さすがだ。こわいもの知らずだな」と褒めてくれました。
「マナミも一緒でしたから」と私が言うと、
先生の顔色が変わりました。
「マナミ、今日体調悪くて先に帰ったんだぞ」
「えっ」
「山本先生」と叫びながら、田中先生が駆け寄ってきました。
「マナミの家から電話が」
マナミは容態が急変して、死んでいたのです。
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