第62回テーマ館「ビードロ」「ガラス」



二十四のガラス玉 しのす [2006/09/15 22:03:44]


 「…であるから、4ひく8はどうなるかな」
 黒板から振り返ると、二十四のガラス玉が、俺を見ているだけだった。
 まったく反応はない。
 当たり前だが、俺はムカついた。
 俺がこれだけ一生懸命にやってるのに。
 やってられねぇよ。
 プツンと何かが切れた。
 「わかんねぇのかよ。だまってんじゃねぇよ」
 俺は教科書を教壇に叩きつけた。
 机を蹴り上げ、ガラス玉に向かって右ストレートを食らわせた。
 頭が教室の後ろまで、吹っ飛んだ…。

 「ダメですね」
 「やはり不適格ですから。切れやすくて、ここに来てるんですからね」
 「12体の人形の前での授業なんですがね、それさえ出来ませんか。人形というのが悪
いのでは」
 「ふっ、人形の前で授業が出来ないのに、どうして生徒の前で授業が出来ますか…」

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