第83回テーマ館「卒業」



記憶 はなぶさ [2012/03/27 23:28:49]


もう何年も経ちます。今でも少し情緒不安定になりそうになります。

格式ばった式典が終わって、教室での先生の挨拶も終われば生徒は解放
されたな。証書を黒い筒に入れて、さあもう帰る以外に何もない。

部活の後輩から花束をもらっている光景や友達と話が尽きないで
立ち話をし続けるクラスメートを横目に、廊下を通り過ぎる私がいる、
誰にも話し掛けられず、誰にも話さず。

どうせなら皆からからかいの声を掛けられるくらい、駄目駄目な感じ
だったらもう少し諦めきれたけど、そんなのも何も無く、誰かから
声を掛けられたのかと、遠い話声に反応しながら、廊下を出た私。

何にも無かった学生生活。何にも無さ過ぎて、何かがあったと
言い張ることもできない。だから目を背けて生きてしまったのかも。

どんな辛くても毎年思い出し、自分の駄目さを見直すための原点が
卒業式なのだとも、しみじみ思う。奢らない自分への回帰もいいが
少し自虐的になってみる自分を可愛そうにも思う。

そんな、思いを感じる季節。

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