第51回テーマ館「手」「手首」



欲しいもの 服部 [2003/10/02 21:37:34]


昔々のこと、ある美しい女に、若者が恋をした。

若者は彼女を見かけるといつもこんなことを言った。
「なんと美しくてしなやかな手だろう、白魚のような指・・・ああその美しい手を、この
手に取って、口づけができたらどんなにすばらしいだろうか」
しかし彼女は、若者がうっとうしくてしかたがなかった。
ある日のこと、若者がいつものように言い寄って来ると、彼女は隠し持っていたナイフを
取り出した。そしてそれを振りかざすと、ザクリと自分の手を切り、「そんなに欲しけり
ゃくれてやる」と言って、若者に投げつけたとさ。

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