『テーマ館』 第13回テーマ「もしも・・・」
「もしもうんぬん」 by ゆびきゅ
僕がそれを見たのはヴィヒと一緒の時だった。
幸いなことに、ヴィヒは4杯のKPFAで自己中心的に正気を失っており、
それに関する感想を抱く余裕はなかった。”骨の中まで神経が燃えて”い
たことだろう。
それは特別に鋭敏な宇宙服を通して、特別に鈍感な僕らの知覚をグラグラ
揺り動かした。
「にゃ、にゃんだあれわ」ヴィヒの尾は液体の大地に横たわったまま。そ
のままでいてくれよ。
「われわれは極度の失見当識におちいっている。あれは確実に生命体機能
を持っているが...」
それは奇妙な形態をしていた。丸い物体が細い筒状のものに支えられ(突
き出ているだけ?)、その下に太い筒。そこから4本の、これまた筒が突
き出している。およそ生命体としては不適格な形状と思われる。われわれ
の起源が、このテラという星にあるという仮説を完全に捨てさせるのに充
分過ぎる証拠となるだろう。
「違うよ、ここだよ。ここだよ」ヴィヒが叫ぶ。何を言っているのだろう
か。小ぬか雨がその毛皮ではビーズに、髪では星になっていく。
(11月22日(土)11時42分47秒)