『テーマ館』 第13回テーマ「もしも・・・」
「もしも・・・」 by 藤塚克秋
もしも・・。
そう、もしもキミがボクを好きでさえいてくれたのなら、この果て
のない苦しみなど知らずにすんだ。
なぜ、キミはボクを友だちとしか、あるいはそれ以下としてしか受
け入れようとしてくれないのだろう。なぜ、ボクはキミを恋愛対象て
しか見ることができないのだろう。
「人を好きになる、簡単なことじゃないよね」
そう、その通りだよ。
「でも、案外単純なことでもあるよね」
ああ、そうだね。
ボクは決して消極的な方ではない、と思う。好きな女性が目の
前にいれば、当然告白する。でも、キミは人を好きになることはあ
っても、人に好かれることに慣れてはいなかった。ボク以上に恋
愛に臆病だった。だから、告白できずにいた。それをすればキミ
が去ってしまうと解っていたから。
ボクも狡く、臆病だった。いちばん近くにいられればよかった。
「・・くんは、好きなコまだいないの?」
自分が熱中すること以外は極端に淡泊なキミが、珍しく恋愛の
話に持ち込んだ。
ああ、来てしまったのか、この瞬間が。
ボクがキミと知り合ってからのいちばんの恐怖は、キミのいちば
んでなくなることだった。だからもう、キミが誰を好きになったのか
も関係がなかった。
「・・さんがずっと好きだった」
もしも、キミが・・。
(11月24日(月)00時42分18秒)