『テーマ館』 第13回テーマ「もしも・・・」



 「(無題)」  by その


 なんだろう、この感覚・・あったかくて、妙に安心できて、くすぐったくて・・。
   ・・・・・幸せ。幸せって?  シアワセ?

「おい、居眠りしてるんじゃない!起きろ!」
怒鳴り声に、はっと現実に引き戻された。
「なに呆けた顔してんだっ。時間だ!」
「・・・・・・ハイ・・」

  そうだ、僕は・・物心が付いたときからヒトを殺してきた。
  いかに人を殺すか。それだけを徹底的に教え込まれてきた。
  育ててくれたのは何とかという組織らしいが、そんなことには興味がなかった。
  実際に会うこともなかったもんな。
  「他人」にも興味がなかった。
  誰かに会うということは、僕がそいつを殺すということだった。
  そして、これが最後の仕事。そして、僕の最後。

僕は目の前の銃を取った。

  何故生きてるかだって?そんなことは僕には関係ない。
  僕の人生に意味なんか無い。ただ生きているから「居る」だけだ。
  そして、この人生ももうすぐ終わる。

さっきの感覚が蘇る。

  あの白昼夢は何だったんだ?今まで感じたことの無かったものだ・・。
  あの感覚。不思議な・・。シアワセ?そんな言葉、どこから出てきたんだ?

目の前の出口が開かれた。

  もし、来世なんてのがあるとしたら。
  あの感覚を味わえる人生だったら悪くないかな。

少年は銃を構え直して、一呼吸置いた後に走り出した。
彼の人生の最後に向かって。そして、来世に向かって・・・。

<11月25日(火)03時22分04秒>