第66回テーマ館「殺人鬼」



くれいじいてぃぱあてぃ(弱肉強食) 是雪 [2007/08/18 01:43:18]


「さて、殺人鬼の定義について君はどう思う?」
「大量にまたは、定期的に殺人を犯せば殺人鬼なんじゃないかな?」
「だけど、1人しか殺してなくても殺人鬼といったりするじゃない?」
「たしかにそれはそうなんだけど…」
「複数の人間を殺しても殺人鬼って呼ばれない場合もあるしね」
「たとえば?」
「死刑執行とか、戦時中だとか」
「それは法が認めた殺人だからでしょう」
「じゃぁ、法が認めてない殺人を犯せば殺人鬼ってこと?」
「あー。強盗したついでに人殺しちゃった人は強盗殺人犯って言われない?」
「じゃぁ、猟奇的である場合とか」
「猟奇的ってどんなのさ?」
「食人」
「バラバラ殺人」
「最近もあったね〜。でもあれの犯人殺人鬼扱いはされてなかった
と思うんだけど」
「じゃぁ、殺人鬼って言われてる人たちの事件でも振り返ってみて
そこから検証しようか?」
「え〜。たかがお昼のお喋りでそこまで掘り下げる?」
「でも、落とし所は作らなきゃ。でしょ?」
「じゃぁ!快楽目的で行った殺人の場合に殺人犯は殺人鬼と呼ばれるって
いうのでどう?」
「あ、無難なところに着陸させたなぁ」
「ま、でもそれが妥当じゃない?」
「だ〜ね〜。」
「じゃ、我々は食事のタメに同族を殺し食しただけで殺人鬼にはならない
という結論かな?」
「そうですね。快楽目的ではないですし。」
「生きていくためだもんね。」
「仕方ないよね。」

午後の穏やかな食事風景を送っている彼らの足元には肉を削ぎ落とされ、
ほぼ骨だけが残る人間の死体が転がっている。

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