第73回テーマ館「君と僕」



ブランクメモリー はなぶさ [2009/05/05 02:04:14]


薄いピンクの桜の季節も、葉桜も気付かずに4月が過ぎていました。
若葉が美しく、木漏れ日が歩道に葉の影を映し出す頃になって
やっと私は緑の深まりと、そこに至る季節の変化を知ることに
なりました。

テレビ番組を途中から見て、冒頭のワンシーンを想像するという
切ない瞬間を味わいながら、決して戻れない季節と君との出会いを
思います。

気が付けば君はそこにいて、私と挨拶を交わします。
何がきっかけか、私には思い出せません。
出会いの感動も残っていません。
それが君と僕との始まりの心象です。

結果が支配する現在の二人を、周囲の緑が笑ってみています。
愛しい太陽の暖かさが私の後を押してくれます。

君が先を行き、私の心が後を追います。
体はそのあとです。

何も見えない細い糸が私を縛り始めます。
出会いも何も思い出せないことに無限を感じながら。

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