第34回テーマ館「機械仕掛けの…/人造人間(アンドロイド)」


天然の人造 餅 ありさ [2000/07/04 00:09:40]

 「最近のロボットって、見た目や思考が人間と全く変わらない機種があるんだねぇ」
 雑誌を読みながら、愛らしいつぶらな瞳を輝かせて、由紀が言った。
 彼女とこの部屋で暮らし始めてから、もう3ヶ月になる。初めて彼女を目にしたときから、あ
たしは彼女のとりこになっていた。適度に無垢で、快活。そして何より、優しくてよく気がつ
く。まるで旧世紀の男性が求めた、理想の女性。なるほど、あたしが前世紀に生まれていて、か
つ彼女のようにふるまったら、さぞもてたろう。まあ、もてても困るばかりだが。
 そんなことを考えながら、あたしは床に転がっていた手鏡を彼女に見せた。
 「へ? 顔に何かついてる?」
訝しげに由紀が聞いた。まだわかってないらしい。
 「人間そっくりのロボットが見たいんでしょ?」
 「アッ……」
 なんともいえないそこつぶり。これもまた愛嬌か。
あたしの恋人、扶養家族。そして、働かないのにロボット。それが由紀。