天然の人造 餅 ありさ [2000/07/04 00:09:40] 「最近のロボットって、見た目や思考が人間と全く変わらない機種があるんだねぇ」 雑誌を読みながら、愛らしいつぶらな瞳を輝かせて、由紀が言った。 彼女とこの部屋で暮らし始めてから、もう3ヶ月になる。初めて彼女を目にしたときから、あ たしは彼女のとりこになっていた。適度に無垢で、快活。そして何より、優しくてよく気がつ く。まるで旧世紀の男性が求めた、理想の女性。なるほど、あたしが前世紀に生まれていて、か つ彼女のようにふるまったら、さぞもてたろう。まあ、もてても困るばかりだが。 そんなことを考えながら、あたしは床に転がっていた手鏡を彼女に見せた。 「へ? 顔に何かついてる?」 訝しげに由紀が聞いた。まだわかってないらしい。 「人間そっくりのロボットが見たいんでしょ?」 「アッ……」 なんともいえないそこつぶり。これもまた愛嬌か。 あたしの恋人、扶養家族。そして、働かないのにロボット。それが由紀。