第34回テーマ館「機械仕掛けの…/人造人間(アンドロイド)」


作り話か、創作秘話か? 唯我晶 [2000/07/15 06:26:56]

朝は、おはよう。
昼間は、こんにちは。
夜になったら、こんばんわ。
その他にも、ありがとう。
ごめんなさい。
等々の沢山の挨拶言葉がマニュアル化されてインプットされている。

人間ではないから、四季に引きずられてタイムテーブルが崩れることもない。
そんな彼等は、人間によって作り出されたのだと聞き及んでいる。
有機系人型生命体が人間だとしたら、彼等は差詰め無機系人型生命体とでも言おうか。
人が人に似せて、自らを創造主として生み出した生き物が彼等だったのかも。
その辺は、今となってはもう誰もがハッキリとは答えられない。

後の世に、自分の何かを残したかっただけなのかも知れない。
子供だとか孫だとか、クローンなどと言った限られた寿命に縛られる同種族ではない
それでもやはり自分の姿形を同じではなくて、それなりに引き継いでいる者。
寿命は、有機系の生き物とは切っても切れない縁を持っているから、それならば・・・と
単純にそう考えて彼等のような生き物を生み出すことになったのかも知れないな。

彼等には、限られた寿命が無い。
その代わりに、自らのアイデンティティが乏しいかも知れない。
マニュアルから外れたイレギュラーに弱い。
イレギュラーが続いたら、彼等も鍛えられて変わっていくのだろうか、人のように。
個性が様々に変革して、より無機系から有機系に近くなるのか。
近くなってどうするわけでもないだろうけれどね。

そう言えば、無機系の彼等には有機系の生き物のように夢を見ることがあるのだろうか。
現実と幻想の違いは判別できても、実際に目に見えないものを信じることがあるのか。
夢・・・それは他の人には語ることが出来ても見せることが出来ない。
ならば、無機系の彼等には夢を説明するのが難しいだろう。
語って聞かせることは出来るけれど、夢というものを理解することは出来ない。
夢を見るのが彼等の叶えられるかどうかさえ不確定な夢なのかも知れない。

いつか誰かが語ることがあるかも知れない。
有機系の人は、創造主。
無機系の人は、創造種だってね。
でも、本当のところは誰が誰を作ったのかわからない。
これを語っているワタシだって、これが作り話なのかどうかさえ知らないんだから。