虚号 ゆびきゅ 2000/04/19 22:47:19 真理を欺く光が遠慮なく照らし、それまでぼくの顔を照らしていた無数の松明を弱虫呼ばわり。 どんなに笑顔を覚えてもしかめっ面。どうせなんで、深い厳かな表情をしてやる。 ぼくを騙そうったって無駄なこと。 華美な敵意はユニコーンの角のように、あんたの所在をぼくに知らせるだけ。 その絹糸のような睫毛の下に、朝露のような瞳の中に、赤ん坊の尻のような額の奥に。 砂漠を駆ける獣に向けて。 それは薔薇ではなく、雪ではなく、杖を這いのぼる双頭の蛇。 住み慣れた荒涼の地に、身を投げる湖を探させる。 それでもぼくは無力ではない。 弛んで色褪せたこの肌に、うるしの光沢を貼りつけそして笑顔。 心臓から漏れ出る悲嘆の叫びを両手でおさえつけ、感極まれりのポーズ。 束の間だけ掲げられる希望の帆がはらむ風は、破れた翼を繕うは、愛ではない。 精神の畑に種撒くは、苦痛。 笑顔。