第50回テーマ館「記念」



少し涼しい空気を吸って はなぶさ [2003/09/21 01:42:28]


ひょっとしたら今日は何かの記念日なんだろうな。私はカレンダーを横目で
見ながら思った。私の部屋のカレンダーは、記念日はおろか祝日さえも書か
れていない、白い余白が多いものだ。何だか、自分の時間も空白だらけのよ
うな、そんな気がしてきた。きっと何かの記念日なんだろうけど。

先週末には台風が来襲して、すっかり暑い空気は涼しげな秋の空気に変わっ
てしまった。そして、今日は何もすることもなく、テレビもつけずネットも
つながない一日を過ごしている私。

たぶん何かの記念日なんだろうけど、私には何の意味の無い通過点の日だ。
足の爪が伸びているから、爪を切ってみたからといってツメキリ記念日で
もないだろう。もっとしゃれた記念日だったらな。

私の住むアパートの隣の住人が夕方から騒がしいみたいだ。ほら記念日だ。
きっと、たぶん記念日なんだよ。私はぶらりとコンビニへ向かい、涼しい
風のなかを歩いた。川から吹く風は、何とも言えない香りを運ぶ。

何にもいらないよ。ただ、今日が何でも無いことが一番じゃない。きっと
それだけで立派な記念日さ。そう思うと、見知らぬ子犬が笑って見てた。

Tシャツだけでは肌寒い中の私は、割と幸せなのかもね。



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