『テーマ館』 第30回テーマ「無題」
網羅しよう 投稿者:はなぶさ 投稿日:11月09日(火)23時03分14秒
もしも、私が星に願うことがあるとすれば、次の新年が世界中で平和が実現す
ればいいということ。しかし、私は首筋に視線を感じた。誰かは知らないが冷
ややかな視線だった。その視線を投げかける何者かが私に囁く。3つのお願い
を言ってごらんって・・・。
この世が崩壊すればいい・・・そんな考えが私の中に浮かんできた。これでは
考えないといけない。気を落ち着けようとしてバレーのワールドカップの中継
を見ていると、私が何か勘違いをしていることに気が付いた。私はテストされ
てなんかいないのではないか。
思い切って振り向けば、やっぱりそこには誰もいない。訳が分からなくなり、
まるでブロックが頭に詰まっているような、鈍い思考停止状態が私を襲った。
目の前が白くなってきた。まるで雪が降っているように感じる。そして私は一
人で凍えてゆくという強烈な孤独の影が迫ってきた。私は雪の中で寝ているよ
うだった。全身が雪に覆われて、意識は薄れてゆく。
気が付くと私は冷たい廊下の上に寝ていた。遠くでさよさらと言っている。そ
こは幻想なのか思い出なのか、廊下で寝ている私にはどちらでもよかった。た
ださよならと言っている人が私のことを知っているとだけわかれば、微笑むこ
とができた。最後に微笑むことができた・・・。
人は死んだら何になるのか。私は自分の体を離れて、雲を抜け体が拡張し、つ
いにドラゴンに変身した。森を抜け海を越え、私は全てから自由になった。死
にたくないなんて思っていたのが嘘みたいだ。