『テーマ館』 第30回テーマ「無題」


チャップリンの詩 投稿者:チャップリン  投稿日:12月15日(水)00時52分41秒

      
      ねえ母さん 私にとって「お父さん」って何だったの
      ねえ母さん 私にとって「お父さん」って誰だったの
      母さん 私にとってお父さんは・・・・・・

      家に帰るとカレーの臭いがして、母が台所でお鍋をぐつぐつ煮込んでいる
      兄は漫画を読んでいて、姉はみかんを食べながら歌番組を見ている
      お風呂から出た父が髪を拭きながら「おかえり」と笑う
      「あったまるぞ」と笑う
      そんな家庭にあこがれていた
      ーいつからだっただろう・・・・
      クリスマス・誕生日・おめでとう と言われなくなったのは
      食卓から父の姿が見えなくなったのは 
      ーいつからだっただろう・・・・
      用意されている夕飯を一人で食べるようになったのは
       
      寂しい時・悲しい時・泣きたい時・そんな時いつも空を見た
      いつも一人で空を見た・・・・
      「一人じゃないんだよ」って言い聞かせた

      ヘンゼルとグレーテルの様に怯えていた訳ではないけれど 
      そこに私(私達)の居場所はなかった
      ナイチンゲールがいつも笛を吹いていたから
      鐘の音も聞こえない・・・・けど

      ねえ母さん 答えてよ
      私達にとってお父さんは何だったの
      私にとってお父さんは・・・・・ちゃんとお父さんだったんだよ?