第47回テーマ館「鬼」



血染めの犯人 夢水龍乃空 [2002/12/30 16:17]


「犯人はお前だ!」
 探偵は爪の先で関係者の一人を指した。
「な、なぜだ・・・」
「遺体発見時の状況を考えればすぐに分かることだ」
 うろたえるその者を見据えながら、探偵はゆっくり歩きつつ謎解きをする。
「被害者は胸を先の鋭く太い円錐状の物で突かれて即死している。言い争いの
声に耳を向けていたあなた達は、悲鳴を聞いてすぐに駆けつけているが、犯人
の姿はなく、凶器も発見されていない。だが現場には凶器を拭ったと思われる
血の付いた布が落ちていた。実際に血液は被害者の物と一致している。出血量
はおびただしく、半端なものじゃない。犯人は凶器のように血まみれになるほ
ど返り血を浴びたはずだ」
 もうそれ以上の説明は必要なかった。関係者の視線は、先ほど探偵に摘発さ
れた者に集まっている。
「もう分かっただろう。犯人は言い争いの挙げ句かっとなり、思わず被害者を
突き殺してしまったんだよ。慌てて角の血を拭いたにしても返り血は隠せない
はずだった。だが犯人は誰にもばれていない。そんなことができるのは、一人
しかいないんだよ!」
 探偵はそう宣言すると、関係者の中でたった一人の、赤鬼を再び指差した。

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