第53回テーマ館「幻」



不思議通販 ひふみしごろう [2004/04/30 21:05:41]


「ハァイ、ゼンジロウ。」
「やぁ、アンドリュウ。」
「実は、今日はゼンジロウのためにとてもおもしろいアイテムを持ってきたんだ。」
「へぇ、なんだいそれは。」
「ジャーン!!」
「おお、なにものだい?この包丁は。僕にはただの包丁にしか見えないけれど。」
「HAHAHA、馬鹿にしちゃいけないよ、これこそかの名匠ツネカネが
鍛えた幻の作品なんだよ。」
「えっ、そうなのかい。いやぁわからないもんだね。」
「いまならなんと砥石も一緒についてきて1万円。」
「へぇ、幻ってわりには意外に安いねぇ。」
「だろ?まぁ、とりあえず使ってみなよ。」
「ああ・・あれっ触れない!?・・・って、そっちの幻かよ!!」

     *

「ったく、アンドリュウ。あれじゃ使えないじゃないか。」
「HAHAHA、まぁ今のは軽いジョークさ。さて、今度こそちゃんとしたものだ。」
「ふぅん、・・・って、僕にはただの雑巾にしか見えないけれど。」
「見た目に騙されちゃいけない。これこそ幻の生物イエティの体毛を編んで作られた最
高級の雑巾なんだ!!」
「うっわぁぁ、うそくせぇぇぇ。」
「HAHAHA、これを見てもそんなことが言えるかな。でりゃ!!」
「おお!!油性マジックの汚れが洗剤もなしで瞬く間に綺麗に!!」
「これくらいで驚いちゃいけない、今回はサービス期間としてもう一枚ついてくるん
だ!!」
「すごすぎるよ、アンドリュウ!!」
「今ならセットで200万円!!」
「違った意味で使えないよ!!」

     *

「まったく、アンドリュウ。もうちょっとましなものはないのかい?これじゃあ不思議
通販の名が泣くよ。」
「ふっ、言ってくれるじゃないか、ゼンジロウ。そこまで言われたら仕方ない。とって
おきのやつを紹介しようじゃないか。」
「これはまた、ずいぶん古ぼけたものだねぇ。」
「これこそ当店の最終兵器!!・・・不思議ランプ!!!」
「・・ふ・・・ふしぎらんぷ??」
「ああ、かの有名なアラジンが愛用していた、幻の不思議アイテムさ。どんな願いでも
ひとつだけ叶えてくれるんだ。」
「嘘だよね、それ。」
「今ならお値打ち価格の1億円!!」
「無茶だよそれ!!値段設定、滅茶苦茶だよ!!」
「なにをいってるんだゼンジロウ。このランプは看板に偽りなしだよ。実は僕も先日購
入して効き目も確認済みなんだ。」
「えっ!?なんてお願いしたんだい?」
「1億円欲しいって。」

  <おしまい>




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