第53回テーマ館「幻」
幻の少女 志依乃 茉莉 [2004/06/09 17:11:37]
俺はある日少女を見た・・・。
しかし、その少女は俺と目を合わせた瞬間・・・
俺の前から・・・消えてしまったんだ・・・。
俺はその出来事が・・・幻のように思えてきた・・・。
でも、あの少女とまた会いたい・・・。
あって・・・話がしたいんだ・・・。
「芯打(しんだ)!!」
ん?誰だ?こんな場所で・・・・
「あ・・・良也(りょうや)じゃん。」
こいつは、俺の幼馴染。家族同士仲がいいんだよ。
「また、幻の少女探しですか?この・・・4四十年前に閉鎖された・・・駅で。」
「良也には、関係ねーだろ。お前みたいな霊感のないやつ・・・取り付かれるぞ。」
俺は取り付かれそうになれば、払えばいいけど・・・良也は違うだろ。
「いーのいーの。誰かさんが守ってくれるからね。」
こいつ・・・次に取り付かれそうになったら祓ってやんねー!!
良也と芯打は・・・四十年前に閉鎖された駅に二人・・・。
そして、幻が二人襲う・・・そう。幻の少女という名の・・・幻がね。
そんな時、良也はいきなりこう言ったんだ・・・。
「俺・・・今俺達より小さい男の子見た!!」
俺は心の中では、あたりまえだと思っていたがそれはふせておいた。
「そんなの、見間違いか・・・もしくは、幻だろ。」
そんな風にふつうに言う俺に向かって良也は変なことを言ったんだ。
俺が・・・一番そう考えたくなかったこと・・・。
「そんなこと言うのなら、おまえのみた少女だって、幻かもしれないぞ?」
その言葉に俺は・・・この上なくキレた・・・イヤ、激怒したんだ。
「ふざけんじゃねー!!おめーみてーな見間違いはしねーんだよ!!」
俺は言った後に、我に帰った。が、それはもう遅かったのだ・・・。
「はぁ?意味わかんねー!!」
今は・・・12日の木曜日の・・・深夜11時30分・・・。
残り・・・30分で・・・呪の・・・日・・・。
しかし、俺はそんなことに気づかなかった・・・。
そして、それよりも大切な・・・良也の異変にも・・・
俺は・・・気づくこともなく・・・呪の日を迎えようとしたのだった・・・。
呪の日まで・・・あと10分・・・そして良也の異変に芯打が気づくのも・・・
今から・・・10分後になるのだった・・・。
あと・・・あと5分で・・・タイムリミット・・・。
「なぁ・・・良也・・・俺達・・・霊に囲まれていないか?」
「そんなわけないだろ・・・」
良也は・・・なぜかいつもより1トーン低い声で・・・
イヤ、別人のような声で・・・そしてうつむきながら・・・
俺にこういったんだ・・・あとタイムリミットまで3秒・・・
3・・・・2・・・・1・・・・そして0になるのと同時に・・・良也は言ったんだ。
「俺は・・・おまえのような幻おいかけてるやつが・・・一番嫌いなんだよ!!」
その言葉と同時に良也は顔を上げた・・・でもそれは・・・良也ではなかったのだ。
「おまえ・・・良也じゃねーな?」
俺はホボけんか売った状態で・・・そういったんだ。
「あぁ・・・そうだよ?俺はこの体の主ではない・・・俺は・・・幻だ!!」
そういった瞬間・・・その幻と名のった良也は・・・消えたんだ・・・。
そのまま・・・俺の意識はもうろうとして・・・倒れたんだ・・・。
その後のことは・・・よく覚えていなかった・・・。
でも、これだけはたしかだった・・・今までのことはずべて・・・
神の悪戯・・・『幻』だったんだということは・・・・。
そして、神の悪戯はとどまることを知らずに・・・今でも誰もを・・・落とし入れるの
だった・・・。
きっと永遠に・・・神の悪戯は・・・終わらないであろう・・・。
そして・・・神の悪戯が終わらない限り・・・『幻』は・・・消えないのだっ
た・・・。
終わり
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