『テーマ館』 第14回テーマ「星に願いを/新年」
MIG(Myth in gray) 〜そして、語り継がれることのない神話たちへ〜
by すぎ
西暦2000年、12月31日。
新年に向けての、新世紀に向けての一大イベントが、完成した。
後は、ボタンを押すだけである。
地表を、特殊金属で埋め尽くす。
それは、もうすぐ一般向けに販売されるリニアカーを、地球全土で利用可能にし、
なおかつ、ひどくなりつつある地球温暖化を防ぐという、二つの機能を持っていた。
もちろん、それを聞いて黙ってはいない人々もいた。いや、むしろ、民衆の大半は、
そちらに属していた。
そして、その勢力は、一時はいくつもの国家を刺激するものとなった。
が、すべての反論は、国際軍部隊の最新型壊滅弾の脅威に、押し殺された。
子どもに21世紀の絵を描かせたら、描くであろう地面が、もうすぐ、
この地球全体を覆うのだ。
『21世紀』が訪れる。つまりは、そういうことである。
そして、カウントダウン。
10、9、8、・・・・・・。
全世界の注目が集まる。
3、2、1、0!
「A HAPPY NEW YEAR!」の文字と同時に、世界中の、いわゆる主要国の大統領たちが、
各々のボタンを同時に押す。
その光景は、たとえようが無かった。
なんと、1時間足らずで、陸という陸が、特殊金属に飲み込まれていった
のだから。
『21世紀』を夢見た人々は、高らかな歓声を上げた。
人間の神話は、完成した。
――それから間もなく。
目にみえる速さで、機械化が進んでいった。
子どもの頃描いた『21世紀』そのものにするために。
子どもの頃、かっこいいと信じていた、それを実現するために。
ところで最近、自殺するものが多いという。
どこへ行っても機械ばっかり。居場所のなくなった自分の心の悲痛な叫び声に、
耐えられなくなっただとか。
どこぞの番組の調査では、自殺に選ぶ場所は、海や湖がほとんどのようだ。
海底、湖底には、銀色に輝く『21世紀』はない。
「この星に、触れることができるなら」
そう願って。
(01月04日(日)17時06分01秒)