『テーマ館』 第14回テーマ「星に願いを/新年」



 「エッセイ 星に願いを」  by しのす 


      「ここでは星新一の『おーいでてこい』と『ゆきとどいた生活』のネタ
      をばらしています。その2編を読んでから読んでください。

        正月気分も抜けきらぬうちに、星さんの訃報を聞いて唖然としました。
        中学時代友達にすすめられて『ボッコちゃん』を読んでから、中毒の
      ようにあなたの本を読み漁りました。
        正に予言の書ともいうべき『おーいでてこい』は言うまでもなく、数
      々のショートショートはどれも読みやすくて、傑作ぞろいでした。千編
      以上書かれたというのはすごい才能でしたね。
        好きな作品に『ゆきとどいた生活』というのがありますが、すべてオ
      ートメーション化され、起きるのもシャワーするのも、食事するのも会
      社まで行くのもすべて機械が世話してくれるというもので、会社に着い
      た主人公は実は死んでいたとい話でした。この強烈なオチに驚いてみん
      なに話まくったものです。でも原作の面白さはうまく伝えられなかった
      のを覚えています。
        星さんにはかなり影響を受けて、ショートショートを書きましたが、
      あの洗練された文体とセンスには遠く及びませんでした。ただオチをつ
      けなければならないとよく強引なオチをつけて顰蹙も買いました。
        星さんのすごいところは、誰にでも同じ物を書けそうに思わせて、誰
      にも書けないというところです。
        星さんの前に星さんはなく、星さんの後に星さんはないです。
        願わくば天国でさらに多くの作品を作り続けてください。」

        エッセイを書き上げてふとテレビをつけた。
        今日も「おーいでてこい」騒動を報道している。
        星新一の死後すぐに底なしの大きな穴がみつかった。少年が「おーい
      でてこい」と中に向かって叫び、ゴミが投げ込まれた。たまたま星新一
      の『おーいでてこい』を読んでいた人がいて、それ以降のゴミの投げ込み
      を止めた。小説ではどんどんゴミが投げ込まれて、しまいには産業廃棄物
      や核廃棄物等まで捨てられる。やがて空から今まで捨ててきた物が降って
      くるという展開だった。そのまま産業廃棄物や核廃棄物まで捨ててそれら
      が空から降ってきていたら大変なことになっていただろう。
        そして先日ついに空から「おーいでてこい」という声が聞こえてきたの
      だった。
        星新一の作品が予言の書として我々を救ったのだった。
        「・・・今日は局地的にゴミが降ります・・・

(01月09日(金)19時41分33秒)