「テストと問題」　　　by はなぶさ

      僕の首は、テストの時に限って痛くなる。首を自分で揉むと少しの間は
      納まるけれど、また痛くなる。首が痛くなると、右の方を向いてしまう
      ので、いつも痛い時には翔子の後頭部を眺めるような感じになる。そん
      な訳で、僕は翔子を好きだっていう噂が立った。

      テストの結果はいつも僕を困らせる。調子が良かった時に限って、僕を
      絶望させる。絶望しているときに窓から校庭を眺めていると、翔子とそ
      の友達が見上げていた。僕は驚いて、見えないところに引き込んだ。

      次のテストの前日、僕は気晴らしにコンビニに行った。僕がコンビニに
      入ろうとしたら、翔子が出てきた。僕は笑顔を作ろうとしたけれど、翔
      子は無表情に僕を見ていた。無表情だけれど、その目は僕に用があるか
      のような感じだったので、僕は翔子に付いていった。

      コンビニの明かりが届くぎりぎりの所で、翔子は立ち止まり、口を開い
      た。
      「ここで問題です。私は何を考えているでしょうか。」
      僕は何も言えず、赤面してしまった。それを見て翔子は吹き出して笑っ
      た。それで、僕は更に赤くなってしまった。

      次の日はテストどころじゃなくなった。僕は本当に恋をしたのだ。


(投稿日：08月04日(火)00時17分53秒)