第87回テーマ館「タイムスリップ」



秋の一瞬 はなぶさ [2013/10/29 00:35:31]


    空気が体に染みる秋の日でした。

    青い白に白い雲が小さく、細かく流れていくのを見つめてから

    手元のスマホの写真を見比べて、何かの流れを感じました。

    急に小さいころに、私を暖めてくれた手はいまは遠くになり

    誰も私を暖めてはくれないと感じました。切なくて誰かを探して

    誰もいないことに気が付いて、また切なくなりました。

    また、青い空の白い月を見上げました。

    さっきよりも力をこめて1点を見つめていました。私の体が消えて

    なくなって、月に吸われてしまうくらいに、思いを込めてみました。

    遠くからやさしい声が聞こえた気がしましたが、探すのが怖くて

    知らぬ振りしながら月に目を向け続けてみました。

    青い空は急に黒くなり、月は明るくなり上弦から下弦になり

    また黒い空が、明るいオレンジに変化しました。

    たった数十秒のできごとでした。たったの。

    アスファルトとコンクリートの道を歩いて帰りました。

    枯葉が少しだけ靴を追いかけてきましたが、すぐに諦めて

    知らん顔で吹かれて、飛んでいきました。

    まだ青い空のままでしたが、さっきより月は細くなっていて

    何だが微笑んでいるようでした。少しだけ私の見方が変わって

    いました。味方が少し増えた気がしました。

    遠くの優しい声に顔を向けることが出来そうなきがしました。


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